日本の就職活動では多くの企業で適性試験(ウェブテスト)が行われています。留学生の皆さんは、エントリーシートや面接を重視して、筆記試験の対策まで取り組まない人が多く見られます。しかし、ウェブテストで落ちてしまったら、せっかく書きあげたエントリシートも一生懸命取り組んだ面接準備も無駄になってしまいますので、必ずウェブテストの対策をしましょう。
何のために採用試験が行われるのか?
採用試験は、ペーパー試験(筆記試験と)とパソコンを用いて受験するウェブテストがありますが、今回は、多くの企業が採用しているウェブテストに絞って説明します。
大量の応募者をふるいにかけて絞るため
もし、日本企業が新卒一括採用を実施していなかったら、ウェブテストはここまで徹底されていなかったことでしょう。
当たり前のことですが、採用活動の目的は求める人材を獲得することです。そして、ウェブテストは、ある程度までは良い人材であることを担保しますが、採用すべきベストな人物であるということまでは保証しません。それにもかかわらず、現在ほとんどの会社がウェブテストを行う理由は、効率的に応募者を減らすためです。
一度に1,000人も10,000人も求職者が応募してくる中、その全員と会って話すことは困難です。そのため、筆記試験を通して面会できる人数まで学生をふるいにかけて絞っているのです。
応募者の学力を確認するため
効率的に落とすことがウェブテストの主目的であると話しましたが、もちろん適性を測定するためにも利用しています。つまり、一般的な社会人としての基礎学力があるかということを確かめるために実施されています。「仕事以前に、こんなことも知らないのでは困る・・・」という人を落とす意味でもウェブテストは効果を発揮しています。
ミスマッチを防いだり、採用後の配属部署の判断材料にしたりするため
これは性格検査の話になりますが、その結果から面接ではなかなか見えてこない学生の内面を浮き彫りにして、ミスマッチを防いだり、採用後の配属部署の判断材料に使われたりもします。
受験方法
テストセンター
専用に用意されたテストセンター会場に行って受験する方法です。使用するPCの動作確認が取れていること、受験環境が整っているなどメリットがあります。しかし、事前に会場の予約が必要のため、込み合っている時期では、希望の会場や日時がの予約ができないことがあるため注意が必要です。
自宅や大学のPCから受験する方法
インターネットの環境さえあれば、自宅でも大学でもインターネットカフェなどでも、いつでも試験を受けることができるというメリットがあります。一方で使用するPCの動作確認が必要だったり、試験途中にインターネット接続のトラブルが起きてしまった際にヘルプデスクに連絡しなければならなかったりなどの不便さもあります。期限ギリギリに受験することは控えましょう。
ウェブテストの種類
ここでは代表的な試験を見てみます。また、各試験の問題例を載せていますので、ぜひチャレンジしてみてください。
SPI
非言語系(分割払い、速度算、集合、確率、表の読み取り、推論など)
言語系(二語の関係、語句の用法、空所補充、分の並び替え、熟語の成り立ちなど)
性格検査
数あるウェブテストの中でも多くの企業で採用されているものです。他の試験と比べてレベルはそれほど高くありませんが、出題範囲が多く、問題数も多いのが特徴です。
頻出業界:商社、メーカー、銀行など
ENG
英語
SPIの英語能力審査です。三菱商事、丸紅、ゴールドマン・サックス、TBS、日本航空、全日空など業務で英語力を必要とする企業で行われています。
頻出業界:総合商社、外資金融・証券・航空業界
玉手箱
計数問題(四則計算、図表の読み取り、表の空欄の推測)
言語問題(論理的読解、趣旨判断、論旨把握)
英語問題(論理的読解、長文読解)
性格適性
それぞれ問題数と制限時間が決まっていますが、企業毎に問題の組み合わせが異なります。
玉手箱は問題形式が一定であるため、SPIと比べて対策がしやすいです。ですが、SPIよりも時間制限が厳しいため、解答のスピードと正確性が重要となります。また問題形式1種類に対して複数の問題が出ることも特徴的です。つまり同じような問題が続きます。そのため、問題のパターンをある程度掴むことができれば、残りの問題も同じように回答できます。
頻出異業界:総合商社・専門商社、証券・投資銀行、総合研究所など
TG-WEB
言語(空所補充、空欄補充、文字の並び替え、長文読解など)
非言語(図形・パズル形式、暗号・推論など)
性格審査
難易度が高く、事前の対策がとても重要です。このテストを採用している企業は多くないので、あなたの希望している企業が採用しているか確認しましょう。
頻出業界:大手金融、外資系コンサル、外資系メーカーなど
対策方法
問題を実際に解いてみましたか?「算数や数学は得意だったから大丈夫だろう」と思っても設問がすべて日本語のため、問題文を理解するにも時間がかかります。また、同じように英語力に自信があっても、和文英訳など日本語の能力が求められる問題があるため、初見で解答していくことは難しいかもしれません。言語系はどうでしょうか?一分以内で長文を読んで、問題に解答するのは日本人学生でも訓練が必要です。
ウェブテストの特徴は一つの問題にかけられる時間がとにかく短いことです。制限時間がきたら、自動で次の問題に移ってしまいます。どうしても分からない問題があれば、どれか一つを選んで飛ばしてしまう手もありますが、すべての問題を適当に選んでしまっては、当然落ちます。
ウェブテストは、問題に慣れておくことが大切です。市販で売っている問題集を最低2度は解くようにしましょう。しかし、すべての種類の試験対策をすることは難しいため、まずはあなたの志望度の高い企業が実施しているものを調べて対策しましょう。
非言語・計測問題の対策方法
四則計算
テストセンターにおける受験では電卓を使えません。そのような状況も想定して、足し算、引き算、掛け算、割り算などの計算問題を素早く、正確に処理できるよう練習しておきましょう。簡単な問題でも、スピードを求められると焦って間違いやすくなります。また、小数点を省いて計算したり、四捨五入して簡易化した上で近似値を計算したりなどの高速化テクニックも身につけましょう。
解き方の復習
1次方程式、連立方程式、不等式などの問題は、しばらく解いていないと、解き方を忘れてしまっているものです。計算方法の確認をしておきましょう。
言語系の対策方法
語彙力・文法力・読解力を身につける
四字熟語など、事前に勉強しなければ、知らないものがたくさん出てきます。参考書を解いて、語彙力や文法力を向上させましょう。この分野は覚えていれば難なく得点できるので、取りこぼしのないようにしましょう
また、例題を見たら分かるとおり、玉手箱は短時間で長文を読ませて趣旨把握や穴埋めなどの問題があります。1問あたりの制限時間が1分程度しかないのは日本人の学生でもかなり厳しいので、留学生の皆さんはなおさらでしょう。とにかく数をこなして基本の読む速度をあげましょう。なお、それでもネイティブには及ばないと思うので、必要な情報だけを読み取る受験テクニックを身につけることが大切です。
英語の対策方法
TOEICの本で勉強する
TOEICの問題が近いと言われていますので、市販の参考書やTOIECの参考書で勉強することがおすすめです。しかし、例題のとおり、日本語力も必要になる問題もあります。英語は大丈夫と思わずにぜひ問題に触れてみてください。
ウェブテストは避けて通れない
日本で就職活動をする上でウェブテストは避けて通れません。実際に会社に応募する3ヶ月くらい前には準備を始めておきましょう。Your Careerではウェブテスト対策のクイズがたくさんあります。会員登録をすれば無制限で受験できるので、積極的にご利用ください。