公開日時 : 2022年02月26日
更新日時 : 2022年03月08日
脱退一時金の概要
日本に住んでいる人は国民年金か厚生年金に加入し、年金を収めなければいけません。
これは日本国籍を持たない人もそうです。しかし、年金を払ったのに将来日本で年金を受け取るつもりがなければ、損してしまう可能性が十分にあります。これを解消するための制度が「脱退一時金」です。
脱退一時金をもらえる人
脱退一時金は公的年金制度を脱退する日本国籍を持たない人のための制度です。いくつか条件があるので、まずは以下のチェックボックスで対象に含まれているか確認してみましょう。
日本に住所を持たない
国民年金や厚生年金を支払った期間が10年未満である
障害基礎年金などの年金を受ける権利を有したことがない
国民年金を支払った期間が合計して6ヵ月以上ある
公的年金制度の被保険者資格を喪失した日から2年以上経過していない
チェックボックスにすべて当てはまる場合のみ脱退一時金をもらうことができます。
日本と社会保障協定を結んでいる一部の国が出身の人は、日本で年金を納めていた期間も出身国で年金を納めていたのと同じ扱いになります。そのため、脱退一時金を受け取ってしまうと、その期間は年金を一切納めていないことになり、将来的に出身国でもらえる年金に影響が出てしまいます。出身国で年金をもらうつもりのある人は、必ず自分の国が日本と社会保障協定を結んでいるか、日本年金機構の社会保障協定についてのサイトから確認しましょう。
脱退一時金はいくらもらえるの?
脱退一時金の金額は、国民年金と厚生年金で異なります。どちらの年金制度も支払った合計期間が6ヵ月以上、12ヵ月以上、18ヵ月以上…と、6ヵ月ごとに将来受け取れる金額が増えていくので、例えば年金を既に11ヵ月払っている人は、今後日本に住む予定がない場合、もう一ヵ月多く払った方が良いでしょう。
国民年金の場合
国民年金では、最後に年金を支払った年度の保険料で、もらえる金額が計算されます。
例えば、2021年5月に、最後に国民年金を支払い、合計期間が14ヵ月だった場合、2021年度の支給額となるため、99,600円になります。これがもし、2019年5月だった場合、2019年度の支給額となるため98,460円になります。このように年度によって差ができるのは、支払う年金の金額が年度によって異なるためです。
計算式にするとこのようになります。
最後に年金を支払った年度の保険料額×0.5×支払った期間に対応する数字
厚生年金の場合
厚生年金では、被保険者であった期間の平均標準報酬額で、もらえる金額が計算されます。
平均標準報酬額とは、毎月金銭で支払われる給与と、それ以外に物で支給される通勤定期券や食券、社宅などを金銭に換算し、それらを合計した標準報酬月額と、年3回以下のボーナスなどを含む標準賞与額を合計した金額を、被保険者期間の月数で割った金額になります。
(標準報酬月額 + 標準賞与額) ÷ 被保険者期間の月数 = 平均標準報酬額
例えば、平均標準報酬額が20万円で、支払った期間が14ヵ月だった場合、もらえる金額は22万円になります。
計算式にするとこのようになります。
平均標準報酬額×18.3%×0.5×支払った期間に対応する数字
ちなみに、支払った期間に対応する数字は日本年金機構の脱退一時金についてのサイトに載っています。
国民年金と厚生年金の計算例(2021年度保険料額参照)
どうやったら脱退一時金をもらえる?
脱退一時金を受け取るためには「短期在留外国人の脱退一時金請求書」とその他の必要書類を日本年金機構本部へ郵送、もしくは電子申請する必要があります。これは日本の住所がなくなってから2年以内に行わなければいけません。
ちなみに、送金先の銀行口座は日本の銀行でなくても可能ですが、送金される際の通貨は現地通貨やアメリカ・ドルなどになるため、為替相場の影響を受けます。この点に注意しておきましょう。
まとめ
年金は計算してみるとかなりの額を払うことになります。そのため、条件を満たしているのであれば必ず脱退一時金を受け取りましょう。もし、その他生活のことなどでもわからないことがあれば、無料でご相談にのります。